腕立て伏せにおけるフィジカルモンスターの定義とは!?
2018-04-13
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腕立て伏せにおけるフィジカルモンスターとは!?
まず腕立ては、目的別で3つのカテゴリがある。
①トレーニング用
②パフォーマンス用
③競技用
①のトレーニング用は、筋肉を発達させる為の筋トレ(ウエイトトレーニング)としての腕立てで、正しいフォームと可動域を意識し、ゆっくとした動作で行う自重トレーニングのこと。
②のパフォーマンス用は、1本指腕立て、片手高速腕立て、空中腕立て(プランシェ・プッシュアップ)、フリースタイル腕立て、ストリートワークアウトなど究極の見せる腕立てのこと。
③の競技用(コンペティション)は、腕立ての回数を競うもので、大きく分けて、A.制限時間型、B.無制限型、C.ペース型の3つのタイプがある。
【A.制限時間型】
1分間、3分間、30分間、1時間など指定した時間内で何回腕立て伏せが出来るかを競う。
※長時間の場合は膝を付いて自由に休憩出来る場合が多い。
【B.無制限型】
時間の縛りは無く、力尽きるまでノンストップで腕立てを行う。
※膝を着いて休むなど体勢を崩さずに、エンドレスに行わなければならない。
【C.ペース型】
Bring sally upチャレンジ(音楽のリズムに合わせて腕立て)や、2秒に1回、3秒に1回など一定のリズムやテンポに合わせて限界まで腕立てを行う。
※膝を着いて休むなど体勢を崩さずに、連続で行わなければならない。
今回は③の競技用にスポットを当てて腕立て伏せにおけるフィジカルモンスターとは何なのか探ってみよう。
競技の種類によって当然フィジカルの「強さ」の定義は全く違う。
陸上の長距離選手は持久力が強く、短距離選手は瞬発力が強いなど2つの競技をとっても強さが異なる。
A.B.C.のタイプ全てに必要な腕立てにおけるフィジカル能力は以下の4つと定義する。
●全身持久力(エンデュランス)とは、マラソンなど筋肉(遅筋)を長時間にわたって動かし続ける能力
●筋持久力(マッスルエンデュランス)とは、400m走など筋肉(速筋)を全力に近い筋力で発揮し続ける能力
●敏捷性(アジリティ)とは、身体の動き(減速からの加速、加速から減速)を正確にコントロールする能力
●俊敏性(クイックネス)とは、爆発的な加速力(コンマ1秒)をどれだけ速く動けるかの能力
腕立ての基本動作は、いたってシンプルで身体を水平に上下動させる動きが全てだ。
競技や大会においては、屈伸1回の動作速度をトップスピードで行う事でレップ間のインターバルが0コンマ1秒単位で長くなり、無駄の無い正確な重心移動(減速⇔加速)の動きを身につける事で、三角筋や大胸筋にかかる負荷をいなし筋肉に乳酸を蓄積させずに、高次元な持久力を重力に逆らって発揮し続けられるのだ。
言うまでも無いが①トレーニング用においては邪道とされるテクニックだが、生まれ持った骨格と日々の反復練習が成せる高度なスキルなのだ。
腕立て伏せにおけるフィジカルモンスターとは、「全身持久力」「筋持久力」「敏捷性」「俊敏性」4つの能力全てを高い次元で発揮出来る人間だと私は定義している。
そして、最大酸素摂取量VO2max、乳酸性作業閾値を人間の限界まで引き上げる為に必要な、脳のリミッター解除とエンドルフィン分泌をコントロール出来る技術を持ち、地獄のトレーニングに耐えられる精神力を持つ修行僧だけが、エンデュランス界の覇者になれるのである。
かくいう私は超高速腕立て伏せで有名になった事もあり、スタミナ系の腕立て伏せの方が得意だった事を知らない人も多い。世界レベルのエンデュランスを極めたルーツを紐解くべく、簡単に私の腕立て年表を紹介しよう。
●20歳
TBS筋肉番付のサバイバル腕立て伏せをTVで見たのがキッカケで、エンデュランス型の腕立ての魅力に取り憑かれ特訓スタート。
●22歳
関西テレビ8・8祭り真夏のカンテーレで、10kgのウエイトベストを着用して4時間連続で腕立てを行う生放送企画にチャレンジ。回数は数えない内容だった為不明だが、時間とコンディションから計算しておよそ3500回ほどだったと思われる。
●24歳
フジテレビ721チャンネル北野「新人間国宝」で1時間連続腕立て3396回樹立(当時のギネス世界記録3416回)
ノンストップ腕立て伏せのギネス世界記録10,507回に迫る10,000回の腕立てを4時間40分で非公式ながら達成
●25歳
TBS三色筋肉(マッスルジム)に出場し、221回の記録で全国ランキング1位になる。この頃のスピードは普通でむしろ他のアスリートの方が速いくらいだった。
●26歳
全国区の知名度があったTBSマッスルミュージカルの第一期メンバーに招聘され、YMCAマッスルというスピード腕立ての演目の主役に抜擢されたのがキッカケでスピード腕立ての特訓を始める。
●28歳
TBS体育王国「アーティスティックパフォーマー」のコーナーで、30秒間102回の高速腕立ての世界記録を樹立する。同年、腕立てパフォーマーを引退する。
年表から分かるように、スタミナ系のトレーニングは、20歳から腕立てのプロになる26歳までの6年間行い、プロになった26歳から引退する28歳までの2年間は、パフォーマンス用にスピード系のトレーニングのみを行っており、20代の腕立てキャリアはスタミナ系の方が長いのだ。
スタミナ系腕立ての記録を出した番組が、ローカルエリアだった事もあり全国区で有名になる事は無かった。
そしてプロパフォーマー引退から15年経ち現在43歳。
20代前半に手に入れた無尽蔵のスタミナに少しでも近づく事を目指し、科学的なアプローチも入れ現在7ヶ月訓練を継続しているが、やはり加齢による最大酸素摂取量VO2maxの減少や肺活量、呼吸筋の衰えは、さすがに生物学上避けられない現実だ。
最大酸素摂取量にいたっては、心肺持久力のレベルがピークだった23歳にはマラソンのトップランナーに匹敵する90mlほどあったが、20年経った現在は70mlほどと容量(タンク)が20mlも減少している。
これでも同世代と比較すると破格の数値ではあるが、20年前と同じ運動強度で行うと息切れが来る時間が大幅に早くなっており、乳酸性作業閾値(LT)の数値もかなり低くなっている。
体感的には、筋持久力の全盛期だった23歳が100%だとすれば、43歳の現在はせいぜい30%といった所だ。
その事実を裏付ける昔の腕立てノートのデータが今でも残っている。
同じ特訓開始期間7ヶ月目のデータでどれだけ年齢による力の差があるか比較してみよう。
1996年6月11日~1997年1月12日(21~22歳) 5.5kgのウエイトジャケットを着けて、2290回の連続腕立て
2017年9月12日~2018年4月12日(42~43歳) 4.0kgのウエイトジャケットを着けて、785回の連続腕立て
当時は、何ら凄いとも感じず黙々と練習していたが、今見てみるととんでもない記録であり圧倒的な力の差である。昔が怪物過ぎたと自分に言い聞かせないと、この20年で失った力のショックは隠しきれない。
良くも悪くも、腕立ての世界で結果と名声を残せたのだが、私の唯一の心残りは、筋持久力系のトレーニングをしていた全盛期(22歳~24歳)にサバイバル腕立て伏せの全国大会や、筋肉番付などメジャーなTV番組に出演出来なかった事である。
30秒間腕立て伏せなどスピードタイプの腕立ては、筋肉番付など有名な全国放送の番組にも多数出演出来たが、スタミナタイプの腕立てに関しては、関西ローカルやBS放送など限られたエリアでしか放送されず超人的な持久力で有名になる事は出来なかった。
過去最大のチャンスだったのが、28歳の時に、筋肉番付の後継番組であるTBS黄金筋肉(ゴールデンマッスル)で、1時間連続腕立て伏せのギネス世界記録に挑戦する企画が決まっていたが、とある事情で出演が白紙になってしまった事だ。運動生理学的には持久力のピークは多少過ぎてはいたが、もし挑戦出来ていれば腕立ての世界に今なお残る金字塔を打ち立てられただけに残念な出来事だ。
ちなみにTBSのサバイバル腕立て伏せは、1995年開催(優勝回数1200回)の1回で終わってしまったが、もし1997~1999年(22~24歳)のフィジカル全盛期に第2回目の全国大会があったとして、全く同じルールと条件であったなら最低でも3000回はクリア出来たと分析している。
全盛期の3割の持久力でも、今の若い新世代と対戦してデッドヒートを演じるポテンシャルを持っているつもりだが、昔の自分がそうだったように若さという才能は無限とも言える恐るべき潜在能力を秘めているので、四半世紀の年月を経た今の世代にワールドクラスの腕立てモンスターは存在するのか!?見てみたい。
レジェンドとして次世代チャレンジャーからの挑戦を受け、ベストなパフォーマンスを発揮出来る準備は出来ている。元筋肉番付のスタッフや新進気鋭の制作会社の人と十数年振りに仕事が出来る事を願っている。
世界には我々の想像を遥かに超えるとてつもないフィジカルモンスターが存在する!
腕立て伏せ世界大会スポンサー募集!!
http://chojinpro.co.jp/topics/performers/1513
1995年にTBS筋肉番付で放送された伝説のサバイバル腕立て伏せ全国大会決勝「THE FINAL PUSH UP」
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